マスカットとシャインマスカットの大きな違いと言えば、皮ごと食べられるか・食べられないか、種があるか・ないか、だと思います。
ここ最近では、ぶどうの時期になると必ず耳にするようになったシャインマスカットですが、マスカットと別のぶどうを交配して生まれた品種なので、マスカットに非常に似ています。
ここでは、マスカットとシャインマスカットの違いを詳しく見ていきたいと思います。
マスカットとは
マスカットってどんなイメージがありますか?皮が黄緑色!と思う人が多いんじゃないかと思います。
私のイメージもそうです。でも、皮が黄緑色の白ぶどうをマスカットと呼ぶわけではないのです。
紫の皮のぶどうもマスカットと呼ばれることもあるので、皮の色で呼び分けているわけではないのですね。
そして、日本でマスカットというと「マスカット・オブ・アレキサンドリア」というぶどうを主に指すようです。
この「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は、北アフリカ原産のとても古い品種と言われていて、ローマ帝国時代にエジプトから広まったとされています。
甘みが強いことから“ぶどうの女王”とも呼ばれています。
日本ではこのぶどうのほとんどが岡山県で栽培されています。
マスカットの原産国であるエジプトは高温・乾燥の国なので、日本での栽培はとても難しいとされていました。
しかし、その中でも様々な研究を重ねることによって、岡山県でのマスカット栽培は根付いていったそうです。
ちなみに、岡山でのマスカット栽培の歴史は、明治時代まで遡るので130年以上のものになります。
生産者さんたちの思いが詰まっているぶどうということが分かりますね。
シャインマスカットとは
シャンマスカットは「安芸津21号」と「白南」を掛け合わせて育成されたぶどうです。
この「安芸津21号」は先ほど書いた「マスカット・オブ・アレキサンドリア」と「スチューベン」というぶどうを掛け合わせてできたものです。
このように、様々なぶどうとぶどうを掛け合わせて研究した結果生まれたのが、2006年に品種登録された、大人気の“シャインマスカット”だということが分かります。
このシャインマスカットの最大の特徴は、皮ごと食べられるというところだと思いますが、食べたことがある人なら分かると思うのですが、この皮はとても薄くてクセが全くありません。
糖度は20度前後ととても高く、酸味は少なめ、皮のパリッとした食感があとを引きます。
少し意外かもしれませんが、緑が強いものより黄色っぽいものの方が糖度が高くしっかりとした甘さが楽しめると言われています。
“シャインマスカット”の主な産地は長野・山梨・岡山・山形で、温室栽培のものなら7月ごろ、ハウスや露地物は8月中旬~9月下旬にかけて多く出回っています。
供給が追い付かないほど人気
この“シャインマスカット”実は海外からも人気が高いと言われています。
それは味の特徴が海外のぶどうの品種にはないものだからです。
ヨーロッパのぶどうは、ワインに使用されることが多く、渋みや酸味が強いのが特徴です。
アメリカブドウは食用に向いているものの、“シャインマスカット”ほどの甘みはないと言われています。
そのため、12年前と比べると輸出量が3倍にまで増加したと言われています。
もともと、2006年に品種登録されたばかりの比較的新しい品種のぶどうなので、生産者が少なく、供給が追い付いていない状態にあります。
そのため、1房3000円から6000円ぐらいの値段がするものもある高級ぶどうという位置づけにあります。
しかし、これから生産者の方たちが増えていけば、相場は下がっていくと予想されています。
もし今“シャインマスカット”をお得に購入するのであれば、農家からの産地直送がお得で美味しいものが手に入ります。
ふるさと納税の返礼品になっているところもありますよね。
ただどれも、非常に人気ですぐ予約が埋まってしまうという状態なので、早くから予約をする必要がありそうです。
なかなか手に入らないとなると、ますます食べてみたくなってきますよね。
生産者さんたちの努力
このように、甘く美味しいぶどうが食べられるのは生産者さんたちの努力なしには語れないものです。先ほども書いたように、マスカットはそもそも日本国内で生産することは難しいとされていました。
そこで岡山県の生産者さんたちは、ガラス温室栽培を始めることで、マスカットの栽培に成功したのでした。
このガラス温室栽培は文字通り、屋根がガラス張りの温室での栽培のことです。
今ではビニールハウスが中心となり、珍しくなってしまってますが、ガラスが紫外線を通しにくくすることで皮が柔らかく、繊細な味わいに仕上がると言います。
岡山県では、未だにガラス温室栽培でぶどうを育てている農家さんもあります。
こんな話を聞くと、ぜひガラス温室栽培の“シャインマスカット”を食べてみたいなという気持ちになりますよね。
身近にある幸せ
こういった、長年ぶどう栽培に携わってきた生産者さんたちの努力のお蔭で、希少価値の高い“シャインマスカット”も今ではスーパーでも手に入れることができるようになりました。
当たり前のように並んでいる果物たちもそのような歴史があると考えると、ありがたみがより一段と感じられると思います。
少し前にはなりますが、平昌五輪でカーリング女子が食べていたイチゴが、日本の品種のイチゴが流出し、韓国で交配されていたものというニュースがあったことを覚えていますでしょうか。
その時は、ただ漠然とニュースを聞いていただけだったのですが、ぶどう栽培について勉強していくうちに、事の大きさに驚きました。
長年の努力の結晶が簡単に流出してしまうという事実があることは、非常に悲しいことだと感じました。
まとめ
種がなく、皮ごと食べられて手軽、糖度の高い“シャインマスカット”について、書けば書くほど、その魅力は増す一方でした。
今年は旬の時期が終わってしまいましたが、来年はぜひガラス温室栽培の“シャインマスカット”を手に入れて食べることができたらいいなと思いました。
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